
株式会社 久原本家食品 生産本部 SCM部 物流課 課長 津田様
株式会社 久原醤油 営業本部 営業企画課 担当課長 藤島様
原材料の受入から製品保管・配送、加工業務まで、一連の物流業務を担う

久原本家食品 生産本部 SCM部 物流課 課長 津田様
まず、久原本家様の事業内容について教えてください。
弊社は明治26年創業の醤油蔵を起源とする総合食品メーカーです。
主力の直販ブランドとして「茅乃舎」と「椒房庵」があり、またスーパーマーケット向けのブランドとして、“あごだしシリーズ”でおなじみの「くばら」など、幅広く展開しております。
近年では、北海道の食材や食文化を発信する「北海道くばら」「北海道椒房庵」「北海道食品庫」といったブランドも手掛けています。
販売チャネルとしては、全国の百貨店に専門販売店を設けているほか、スーパーマーケットなどの小売店、自社通販サイトなど多岐にわたる形で製品をお客様にお届けしています。
弊社に依頼いただいている業務の内容についてお聞かせください。
西久大運輸倉庫さんには、非常に幅広い物流業務を担っていただいています。
まず工場の倉庫機能として製品の保管をお願いし、複数ある工場すべてから西久大運輸倉庫さんの倉庫へのルート配送を行っていただいています。
その後、九州の店舗へのルート配送、さらには「くばら」ブランドを中心とした西日本地域のお客様への配送まで、一貫して担当していただいているのが特徴です。
配送先は百貨店の直営店舗や商業施設の店舗、スーパーマーケットなどの販売店と多様ですが、すべて西久大運輸倉庫さんの倉庫を拠点とした効率的な配送体制を構築できています。
事業の成長に伴い拡大する物流の課題をどう解決するか?専門家の視点で提案された解決策

商品をご紹介いただく場面(当社 執行役員 山岡〈左〉と、久原本家食品 課長 津田様〈右〉)
弊社との取引を始める前は、どのような課題をお持ちでしたか。
自社で物流をやりくりしていた当時は、保管スペースの不足が深刻な問題でした。
また、お客様への安定的で定期的な配送にも課題がありました。特に、当時は九州にしか工場がなかったため、九州エリア以外への配送体制に大きな制約を感じていました。
事業拡大を考える上で、物流が足かせになってしまう状況だったのです。自社の車両や倉庫だけでは限界があり、新しい取り組みや販路拡大を自由な発想で進めることが難しい状況でした。
西久大運輸倉庫を選んだきっかけを教えてください。
きっかけは岩田屋の会長様のご紹介から、弊社の四代目社長と西久大運輸倉庫の先代社長とのご縁ができたことによるものでした。その後、他の物流会社とも比較検討を行いましたが、西久大運輸倉庫さんが物流のプロフェッショナルとして具体的で実践的な提案をしてくださったことが決め手となりました。
単に物流を受け持つだけでなく、弊社の事業特性を理解した上で、専門家としての視点から最適な物流戦略を提案していただけたのが印象的でした。
最大のメリットは「自社で物流の心配をする必要がない」こと
実際に取引が始まってからの印象はいかがでしたか?
最も印象的なのは、状況に応じた最適な対応を検討してくれる心強いパートナーだということです。締め時間が過ぎた緊急対応や、弊社都合での急な要求にも、同じ目線で親身に対応していただけるのは本当に助かります。
また、物流にはトラブルがつきものですが、遅延や破損が発生した場合の状況把握、連絡、リカバリーに対して強い使命感を持って取り組んでくださいます。西久大運輸倉庫さんの事務の方々も含めて、非常にフレキシブルに動いていただいており、早期のトラブル解決につながっています。
時期による出荷量の増減が大きいことも特徴とお聞きしました。
はい、弊社の商品は冬場の出荷が特に多く、季節による物量の波が大きいのが特徴です。
12月の出荷量は通常時と比べて大幅に増加しますが、西久大運輸倉庫さんは車両の手配や協力会社との連携により、遅れがないよう安定して対応してくださっています。
九州・福岡エリアにある車両を効率的に割り当てる工夫や、協力配送会社とのコミュニケーションもすべて担っていただいているため、弊社が物流の心配をする必要がありません。
九州でここまで対応してくれる物流会社は他にないと思います。
物流面の制約がなくなり、商品拡充・販路拡大など事業成長を自由な発想でチャレンジできる環境に
取引開始前にあった課題はどのように改善されましたか?
最も大きな変化は、事業拡大に対する物流面での制約がなくなったことです。自社物流では手の届く範囲でしか事業拡大ができませんでしたが、現在は「運べるか」「管理できるか」を気にすることなく、販路拡大や商品拡充を戦略的かつ自由な発想で考えることができるようになりました。
テレビ露出による急激な物量増加など、予期しない事態が起こっても臨機応変に対応していただけるため、新しい取り組みに安心してチャレンジできる環境が整いました。
また、在庫管理やピッキング管理を高い精度で行っていただけるので、取引先に対して安心して商品をお届けできています。
課題解決に加えて、予想していなかった効果や新たに感じられたメリットがあれば教えてください。
物流については素人だった弊社にとって、西久大運輸倉庫さんからプロの視点での提案をいただけることは想像以上のメリットでした。
特にリスク管理の観点から、弊社が知らなかった物流の事情やリスクについて教えていただき、事前にリスクヘッジを考慮した計画を立てることができるようになりました。
これにより、弊社の物流に対する知識やスキルが向上し、組織としての成長にもつながっています。また、エリア特性として起こりうるリスクを事前に把握できるため、発注タイミングや量を調整することで遅延リスクを防止できるようになりました。
繁忙期前の取引先へのアナウンスも、より具体的で有用な情報を提供できるようになり、組織力向上と顧客満足度向上の両面で効果を実感しています。
配送品質やサービス面での評価はいかがでしょうか?
配送ドライバーの方々の接客対応も非常に高く評価しています。取引先での挨拶や対応により、久原グループの一員として顧客に良い印象を与えていただいており、弊社の評価向上にも貢献しています。
またパレットなどの物流資材の管理も徹底されており、紛失や誤使用による無駄を最小化することで、コスト最適化にも大きく寄与いただいています。
災害リスク対応、持続可能性、地域貢献など、様々な取り組みを通じて、両社が共に永続する企業として成長していきたい
リスク対応やESGなど、近年注目されている取り組みについてはいかがでしょうか?
九州という地域性から、雨などの災害リスクは常に考慮する必要があります。特に中四国地域は災害が起きやすいエリアですが、西久大運輸倉庫さんは災害を予見しながら天候なども考慮し、事前に情報共有しながら対策を講じてくださいます。
このような事前の備えにより、実際に災害が発生した場合でも迅速な対応が可能になり、お客様への影響を最小限に抑えることができています。
また、年末の大きな出荷量や毎年増加する物量に対して、荷主として西久大運輸倉庫さんの労働環境にも配慮が必要だと考えていますが、西久大運輸倉庫さんでは労務管理がしっかりとされており、深夜労働などを省力化して効率的な働き方を推進されています。
男女を問わず現場の第一線で活躍されている姿勢からは、働く人すべてに責任ある業務を任せる風土や、健全で持続可能な職場づくりへの取り組みがうかがえます。物流品質の安定性はもちろん、そうした人づくりを大切にされている点にも、大きな信頼を寄せています。
今後、弊社に対してご期待されることや、今後取り組んでいきたい課題があれば教えてください。
流通先の再編や新たな取り組みが進む中で、流通先が自社物流で商品を引き取る「引き取り便」のニーズも出てきています。このような新しい物流の動きに対しても、西久大運輸倉庫さんと一緒に最適な運用方法を検討していきたいと考えています。
また、商品の形状や単位も多様化していく中で、在庫管理・ピッキング・配送方法もより複雑になることが予想されます。そうした変化に対しても、これまでと同じ高い品質で配送管理を続けていただきたいと期待しています。
同じ福岡、九州の地域で一緒に歩んできた企業として、地域の方々への恩返しも重要だと考えています。西久大運輸倉庫さんも同じ思いを持っていらっしゃるので、地域貢献の取り組みを共同で行うことで、永続する企業として成長していけると信じています。