輸出入の工程
貨物の旅路に沿って、貿易用語を学ぶ
貨物が輸出者の元を離れてから、輸入者に届くまでの物語に沿って、貿易用語を4つのステップで解説。
全体の流れの中で意味と役割を紹介します。
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1
契約:すべての始まり
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2
船旅:航海にかかる費用
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3
到着:港に着いてから
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4
共通言語:物流の単位と知識
契約:すべての始まり
貿易の土台となる「貿易条件」とは
貿易条件(インコタームズ)は、輸出者と輸入者の間で「危険負担」と「費用負担」がどこで切り替わるかを定めた国際ルールです。
3つのアルファベットで表現され、取引の責任範囲を明確にします。
この条件を最初に決めなければ、貨物は動きだしません。
危険負担(Risk Transfer)
貨物の損失や損傷に対する責任が移るポイント。
費用負担(Cost Transfer)
運賃や保険料など、各種費用をどちらが負担するのかの境界線。
4つの主要な貿易条件を徹底比較
(※矢印が輸出者の負担を表しています)
船旅:航海にかかる費用
海上運賃(Ocean Freight)だけではない、輸送コストの内訳
海上輸送の請求書には、基本運賃であるOcean Freightに加え、燃料価格や為替レートの変動、環境規制などに対応するための様々な追加料金(サーチャージ)が含まれます。ここでは主要なチャージを種類別に紹介します。
Ocean Freight:海上運賃
Freight Prepaid:運賃前払い(C&F、CIFがメジャーな貿易条件)
Freight Collect:運賃後払い(EXW、FOBがメジャーな貿易条件)
請求書を読み解く:主要サーチャージ一覧
変動・調整費
◆BAF(Bunker Adjustment Factor):燃料割増料金。
◆CAF(Curremcy Adjustment Factor):通貨変動による為替差損を調整。
◆YAS(Yen Appreciation Surcharge):円高になったときの損失を補填。
環境・規制関連費用
◆SOX Compliance Charge:船舶燃料の硫黄酸化物(SOx)排出規制に対応する費用。
◆ETS(Emissions Trading System)Surcharge:温室効果ガス排出量取引制度に関する費用(2024年より適用)
地域・コンテナ関連費用
◆CIC(Container Imbalance Chatgr):特定航路(日中間など)のコンテナ需給の不均等を調整。
◆CMC(Container Management Charge):コンテナの補修管理費用。(ポイント:原因不明の損傷に迅速に対応するため一律徴収。)
到着:港に着いてから
貨物到着。旅はまだ終わりません。
船が港に到着すると、貨物を引き取るための最終段階が始まります。コンテナヤード(CY)でも蔵置、書類手続き、そして国内輸送。
このフェーズでは時間との戦いが発生し、思わぬ追加費用につながることもあります。
時間はコスト:デマレージとディテンションの違い
港の中
- フリータイム(Free Time)
CYから実入りコンテナを搬出するまでの無料期間
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デマレージ(Demurrage)
CYでのフリータイム超過保管料金。日数が経つほど高額に。
港の外
- フリータイム(Free Time)
空コンテナをCYに返却するまでの無料貸出期間
▼
ディテンション(Detention)
コンテナの返却延滞料金。
貨物引取りのステップと関連費用
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1 船到着(ETA)とアライバルノーティス発行 |
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2 D/O(荷渡し指図書)処理 |
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3 輸入通関・保税運送(OLT) |
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4 コンテナピック(Container Pick) |
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5 国内配送 |
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共通言語:物流の単位と基礎知識
物流の世界を測る「単位」をマスターする
正確な輸送計画とコスト計算の基礎となるのが、重量と容積の正しい理解です。
ここでは、国際貿易と国内物流で頻繁に使われる主要な単位とその考え方を解説します。
重量VS容積:どちらが重要か?
G/W(Gross Weight/総重量)VS
N/W(Net Weight/純重量)
G/Wは梱包を含んだ全重量。
N/Wは貨物そのものの重量。
★ワインの場合、G/Wはボトルを含み、N/Wは液体のみの重量です。
M3(Cubic Meter)
容積の国際単位。
長さ(m)×幅(m)×高さ(m)
R/T(Revenue Ton)
重量と容積を比較するための単位。
「1㎥=1t」と見なす。
★綿のように軽くかさばる貨物は「容積勝ち」となり、容積を基に運賃計算されます。
日本独自の単位
才(Sai):容積の単位。
1才≒30.3cm四方の立方体。
通常「1才=8KG」で重量換算。
坪(Tsubo):面積の単位。
1坪=3.3㎡=畳2畳分。
倉庫保管料の計算で使用。
主要な登場人物と重要書類
登場人物
◆Shipper(輸出者):荷送人。
◆Consignee(荷受人):貨物を受け取る者。
◆Forwarder(フォワーダー):輸送手段を持たず、最適な輸送サービスを仲介・手配する業者。
重要書類
◆S/I(Shipping Instruction):船積み依頼書。B/L作成の元となる指示書。
◆B/L(Bill of Loading/船荷証券):貨物の受領証であり、有価証券。
◆サレンダーB/L(Surrender B/L):「元地回収」されたB/L。原本の輸送が不要になり、コピーで迅速に貨物を引き取れる。
◆CLP(Container Load Plan):コンテナ内積付表。コンテナ内の貨物配置を示す。
貨物の識別
◆HS CODE(HSコード):あらゆる物品を分類する国際的な番号。関税率の決定に使われる。
◆シッピングマーク(Shipping Mark):LCL貨物で他の荷主の貨物と区別するためのマーク。
物流を支えるハードウェア:コンテナと関連機器
Loading Method
FCL(Full Container Load):
1荷主がコンテナ1本を貸し切り。
LCL(Less than Container Load):
複数荷主の貨物を1本のコンテナに混載。
CFS(Container Freight Station):
LCL貨物の混載・仕分け作業を行う保税倉庫。
CY(Container Yard):
海上コンテナの蔵置場所。
Process
バンニング(Vanning):
コンテナに貨物を積み込む作業。
デバンニング(Devanning):
コンテナから貨物を取り出す作業。
Equipment
ドライコンテナ(Dry Container):
最も一般的な温度管理のないコンテナ(20F/40F)。
シャーシ(Chassis):
コンテナを載せる台車。重量に応じて2軸(40Fで24tまで)と3軸(40Fで30tまで)を使い分ける。
パレット(Pallet):
荷役用の台。フォークリフトでの作業を効率化。
SOC/COCコンテナ:
SOC(Shipper’s Own Container/荷主所有)VS COC(Carrier’s Own Container/船会社所有)
これまで見てきたように、国際貿易は多くの専門用語、複雑な手続き、そして厳格な規制の上に成り立っています。
正しい書類、正確な申告、そして通関業への深い理解と経験が、スムーズでコスト効率のいい物流を実現する鍵となります。


